顔には、表情をつくる筋肉と、顎を動かして噛むための筋肉があります。働きが違うため、「顔の筋肉を鍛えれば必ず小顔になる」「たるみがなくなる」と一括りにはできません。まず役割を知り、見た目の変化と、痛みや動かしにくさを分けて考えましょう。
こんにちは。ワイズジム恵比寿です。今回は、代表的な顔の筋肉の働きと、顔のトレーニングに期待できることを考える際の注意点を整理します。筋肉の名前を知ることと、自分の症状の原因が分かることは別です。
顔の筋肉は、表情と顎の動きで役割が違う
表情筋は、皮膚や口元などを動かして、笑う・眉を上げる・目を閉じるといった動きに関わります。一方、咬筋や側頭筋などは、下顎を動かす咀嚼筋の仲間です。会話や食事では複数の筋肉が協力しますが、同じ働きではありません。
| 筋肉の名前 | 主な働きの例 | 区別しておきたいこと |
|---|---|---|
| 眼輪筋(がんりんきん) | 目を閉じる・まばたきをする | 眼球を動かす筋肉とは別 |
| 口輪筋(こうりんきん) | 唇を閉じる・すぼめる | 口角を上げる動きには別の筋肉も関わる |
| 大頬骨筋(だいきょうこつきん) | 笑うときに口角を引き上げる | 一つの筋肉だけで表情が決まるわけではない |
| 頬筋(きょうきん) | 頬を圧迫する・食事の動きを助ける | 顎を閉じる咬筋とは異なる |
| 前頭筋(ぜんとうきん) | 眉を上げる | 額の表情に関わる |
| 咬筋(こうきん) | 口を閉じる方向に顎を動かす | 表情筋とは役割が異なる |
この表は働きの一部を簡略化したものです。表情や食事の動きは、筋肉だけでなく神経や関節なども関わって成り立ちます。鏡で見た形や触った感覚だけで、一つの筋肉が弱い・強いと判断しないでください。
顎二腹筋は「顎を閉じる主な筋肉」ではない
顎の下には、前と後ろに二つの筋腹を持つ顎二腹筋(がくにふくきん)があります。舌骨を上げる動きや、口を開く方向の顎の動きに関わります。口を閉じる主な筋肉として咬筋と同じ扱いにするのは適切ではありません。
顎の周りにある筋肉でも、場所と働きはさまざまです。咬筋について詳しく知りたい方は、咬筋の働きと食いしばり・顎への負担を参考にしてください。顔全体の話と、噛む筋肉への負荷の話を分けると理解しやすくなります。
顔の筋肉を鍛えると、小顔やたるみ改善になる?
顔の運動やマッサージを調べた研究はありますが、方法、参加者、期間、評価の仕方が異なります。2024年の系統的レビューでは、見た目の改善を報告した研究がまとめられる一方、より確かな結論には、規模の大きい研究や無作為化した比較試験などが必要とされています。
研究の一例として、2018年のJAMA Dermatologyの報告では、27人が参加し、20週間のプログラムを完了した中年女性16人が解析されました。頬のふくらみなどの写真評価に変化がありましたが、運動しない比較群はなく、参加者数や脱落にも限界があります。
この結果を「誰でも顔が小さくなる」「すべてのしわやたるみが改善する」と読み替えることはできません。頬のふくらみの評価と、顔の脂肪が減ることも同じではありません。見た目を変えたい場合は、何を変えたいのかを整理し、効果を約束する情報だけで判断しないことが大切です。

自己流で強い負荷をかける前に、確認したいこと
鏡を見て笑う、話すなど、普段の表情を意識することと、強い抵抗をかけた顔のトレーニングは別です。痛みを我慢して大きく口を開ける、長時間食いしばる、皮膚を強く引っ張るといった方法を、筋肉を鍛えるための基本動作にしないでください。
顎の痛み、口の開けにくさ、噛みにくさが続くときは、負荷を増やすより歯科への相談を優先します。噛む力の低下が気になるときの確認点は、噛みにくさの確認ポイントと相談先にまとめています。
顔の見た目が気になるという理由だけで、ガムや硬い食品を大量に追加する必要はありません。表情筋の動き、噛む機能、肌の悩みは、それぞれ適した相談先や対応が異なります。顔の運動を、診察や治療の代わりにしないでください。
急な顔の動かしにくさは、筋力不足と決めない
顔の片側が突然下がる、急に笑いにくくなる、片腕の力が入らない、ろれつが回らないなどの症状が出た場合は、脳卒中などを疑う緊急のサインになり得ます。顔の体操で様子を見ず、すぐに119番へ連絡してください。短時間で症状が消えても、放置しないことが大切です。
以前からの左右差や、写真の写り方の違いと、突然起きた動かしにくさは分けて考えます。急な症状がある場合は、この記事の筋肉の表に当てはめて自己判断しないでください。
身体づくりでは、姿勢や動き・運動習慣から考える
ジムで相談する場合は、顔だけの見た目を目標にするより、普段の姿勢、運動経験、身体を動かすときの力み、生活に合う運動頻度なども共有しましょう。全身の運動と、歯や顎の診察、皮膚の悩みへの対応は、それぞれ役割が異なります。

体験で何を確認するのか知りたい方は、パーソナルジムの姿勢分析の確認項目をご覧ください。動きの確認を、顔の症状の診断や美容効果の保証と結びつけず、自分に合う運動を考える材料として使いましょう。
よくある質問
Q.表情筋と咬筋は同じですか?
同じではありません。表情筋は顔の表情などをつくり、咬筋は主に口を閉じる方向に顎を動かします。日常の動きでは協力しますが、役割を分けて考えましょう。
Q.顔のトレーニングをすれば、必ず小顔になりますか?
必ずとはいえません。研究では方法や評価が異なり、一般化にも限界があります。頬のふくらみの変化と、顔の脂肪が減ることも同じではありません。
Q.顎二腹筋は、顎を閉じる筋肉ですか?
顎二腹筋は、舌骨を上げる動きや、口を開く方向の顎の動きに関わります。顎を閉じる主な筋肉として、咬筋と同じ扱いにはしません。
Q.突然、顔の片側が動きにくくなったら?
自己流の顔の体操で様子を見ないでください。突然の顔の片側の下がり、腕の脱力、言葉の出にくさなどは緊急のサインになり得るため、すぐに119番へ連絡します。
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参考資料
Manincorほか(2024):顔の運動と若返りに関する系統的レビュー







